働き方が選べるとしたらどうする?

2019年4月1日に「働き方改革法案」が施行されたあたりから、多様な働き方を実施することになった企業が新聞などで紹介されていますが、コロナ禍で業種によってはリモートワークが進んでいるようです。ステイホームを体験した方からは、家でも仕事ができることを実感しているという声も聞いています。

今回ご相談のあった方もその1人です。在宅勤務が選択できるようになったのですが、雇用形態の選択もできるようになりました。社員のままでいるか、業務委託契約をして仕事を受けるかが選択できるということで、どのように働いたらいいか?というご相談でした。

以前からこういった相談はあったのですが、WITHコロナ、アフターコロナに備えてこういう働き方を採用する企業が増えてきているのですよね。

相談に来られるのは、特に子育てをされている女性で、建築やデザイン、音楽、文書作成などに携わるような、自宅にいても仕事ができる方や、訪問先に出かけることが多いような業種の方です。

出産して小さい子どもを目の前にすると「もう少し大きくなるまでは一緒にいてあげたい」と仰る方が多いです。私自身、もう15年くらい前の話ですが、同じことを思いましたし、これが母性本能というものなのかな、と思いました。

では、社員かフリーランスを選択する際、どうしたらよいかというと、キーワードは「社会保険」と「経費計上」です。

社員だと、加入する社会保険は厚生年金、会社の健康保険、雇用保険、労災保険で、保険料は厚生年金と健康保険が労使折半、雇用保険は会社が少し多めに払ってくれ、労災保険は自己負担ゼロです。フリーランスだと、加入する保険は国民年金、国民健康保険ですべて自己負担です。ただし、配偶者がいて扶養に入る場合は、社員でもフリーランスでも社会保険の保険料の自己負担はありません。

人生には、色々なことが起こりえます。例えば、ケガや病気になったり、出産や子育てでしばらく仕事ができなかったり、障害を負ってしまったり、仕事を辞めることになったりなど。こんなときには、会社員や公務員でいられる方が保障が手厚いです。

経費計上については、社員だとお給料から差し引ける給与所得控除の金額は決まっています。フリーランスだとかかった経費はすべて計上できるので、仕事の内容や仕事のやり方によっては、お給料をもらうときに比べて経費が大きくなり、同じ年収でも所得が小さくなって、社員でいるより税金が安くなり、社会保険の自己負担額も軽減することがあります。

社員でもフリーランスでも、金銭的な損得勘定だけでなく「生き方」も一緒に考えたときに、メリットとデメリットは必ずあります。

大切なのは、目先の損得勘定にとらわれず、5年後10年後といった少し先の将来まで考えて、「どんな人生を送っていたいか?いまどの選択をしたらどんな生活になっているだろうか?」と予想して、いまの行動を決めることです。

会社によっては、社員かフリーランスという2つの選択肢だけでなく、社員として籍を残しながら、業務委託契約を結べるところもあります。会社の社会保険に入れるというのはメリットが多いので、この3つめの選択肢があるなら、相談者さんには、基本的には、まずこれを第1候補にしてみましょう、と提案します。

企業にとっては、社員として1人雇うというのは、費用負担が大きいですが、働く側からすると「働きやすい会社」になるので、良い人材にきてもらえるメリットがあります。

「多様な働き方」を取り入れるというのは、大きな制度変更なので中小企業がほとんどの日本でどこまで広がるかはまだわかりませんが、退職金制度の変更は着実に増えてきています。今までの会社の制度が変わるということは、そこで働く人にとっては、その度に「判断」を迫られ、それによって今後の人生に影響が出ることになります。「提出期限までに返事をだしてね」と言われて、「よくわからないな、困ったな」と思ったら、遠慮せず会社の担当者の方に聞いてみるといいですよ。

私は会社の福利厚生制度の変更をコンサルティングしたり、従業員の方々に説明したりする仕事もしていますが、企業訪問すると、税金や社会保険への影響についてご存じの企業担当者にお会いすることがあります。税金も社会保険も満遍なく勉強できるということでFP2級の資格をお持ちだったり、ご自身で色々と勉強なさったりしている方もおられますから。従業員が少ない企業で、社長が税金や社会保険にすごく詳しいというところもあります。

自分が一度決めた選択肢をあとで変更できる場合もありますが、タイミングを逃してそのままにしてしまい損したり、会社に迷惑をかけてしまったりと、後々面倒になることがあります。会社の制度変更があったときは「しまった!」とならないように、「わからないことをそのままにしない」ようにしたいですね。

 

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