家計資産運用

相談の多い「保険の見直し」で思うこと

FPとして相談が増えているものの1つに、加入済みの外貨建て保険の見直しがあり、相談申込みまでの経緯は、大きく2つのパターンに分かれています。

・貯蓄のつもりで契約したけれど、資産運用として投資信託の勉強を始めたら、外貨建て保険に入っていていいのだろうか?と疑問に思うようになった

・貯蓄兼死亡保障のためと思って契約したけれど、保険料が高すぎるような気がするように思う

保険会社のFPに相談したり、FPの無料相談を利用すると、高い確率で外貨建て保険を勧められます。

 FPを名乗る保険販売員は、外貨建て保険を「貯蓄にもなって、保障もあって、お金を増やすこともできるもの」として紹介します。

確かに、外貨で運用するということは、日本とアメリカの金利差が大きければ大きいほど、お金を増やしやすいですが、為替変動リスクもあります。外貨建て保険の場合、保険料から保険会社の運営コストや保険関係費、代理店の手数料を差し引かれます。

そのため、外貨建て保険で「貯蓄・保障・資産運用」のトリプル成功となるのは、満期金や保険金、解約返戻金を受け取るときに、よほど金利差があり円安で運用できていなければなりません。

リーマンショックから12年でコロナショックが起こり金利差が少なくなることや、円高傾向になることを、誰が予測できたでしょうか??

有料で私のところへ相談される方は、たいてい外貨建て保険の保険料をすでに2年以上払い込んでいる人が多いです。保険料に換算すると、最低でも20万円ほど。「この損を確定させたとしても勉強代だと思って解約しましょう」とは非常に言いにくいです。ですが、円建て保険に比べて保険料が安く済んでいたのも事実です。そのため、保険料が負担になる場合で、これまでの期間は保障を買っていたと思える方には解約を提案することもあります。

一方、契約本数が1本で毎月の保険料の負担が大きくない方には、外貨建て保険の特徴をよく理解してもらった上で、契約を継続するかどうかを考えてもらいます。

 また、契約から数年以上が経っている場合は「払済保険」にしてはどうかと提案することもあります。

払済保険とは、保険料の払込みを中止して、その時点での解約返戻金をもとに、保障額を買い取る方法です。保険期間はそのまま残しておくことができ、翌月から保険料の払い込みがなくなるのがメリットです。

これで終わりではなく、為替レートが円安になった時にコールセンターやインターネットのマイページで解約返戻金をチェックし、損が少なくなったり、なくなったり、またはプラスになったところで解約を検討してもらいます。

保険を解約するときも、払済保険にするときも、通常は契約から10年以内の場合は解約控除というコストがかかります。そのため、契約からある程度の年数が経っていないと、解約払戻金がほとんどなかったり、払済保険にできないことがあります。

 

私がFPとして一貫して相談者やセミナー・研修などの受講者にお伝えしてるのは、「貯蓄・保障・資産運用」は各金融商品で準備する必要があるということ。

収入減の可能性を考えて、手元に現金は用意しておかなければなりません。養う人がいるのであれば、死亡保障は必要です。将来リタイアした後の生活を、公的年金だけで過ごせると思っている人はいないでしょう。

では、それぞれの心配ごとに備えるには、どういった金融商品(保険商品を含む)が良いのか?というと、例えば、貯蓄は普通預金や定期預金、保障は掛け捨て保険、資産運用は投資信託などです。とてもシンプルです。

「保険で保障も貯蓄もできる」という考え方を持つ人はまだまだ多く、これは貯蓄型の円建て保険にあたります。ついつい、お金が貯まったら使ってしまうから、大学の教育費の一部は保険で強制的に貯めたい、死亡保障で教育費に充てることもできる、という考え方は、多くの相談者を見てきて、また実際に我が家も子育てをしていて実感しています。保険料が高すぎて、子供が中学生や高校生くらいになって生活費が苦しい、となってはいけませんから、そこは懐事情をよく考えなければなりません。

外貨建て保険は、そこに「増える」という魅力的な言葉がプラスされるので、契約する人が後を絶ちません。保険を販売している人のなかには、本当にこの「貯蓄・保障・資産運用」のトリプルを確実に成功できると思っている人もいます。2000年から2019年には、日本とアメリカの金利差は3%~4%でしたし、米ドル/円為替レートは76円~125円の幅で変動しているため、今後どうなるかわかりませんから、成功なんてあり得ない、とは言いません。

ですが、外貨建て保険は、シンプルなしくみの外貨預金に比べて、保険にかかるコストが不明瞭な分、「あくまで余裕資金による外貨での資産運用」と割り切れるくらいの気持ちが必要でしょう。

 

 

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